MICEを通して、日本や地元の魅力を
幅広く発信したい

産業振興センター
久壽米木 僚
(Ryo Kusumegi)

大学院で観光政策を研究し、MICEと出会い、その魅力に取りつかれる。
MICE事業に携わりたい、との思いで、卒業後JMAに新卒で入職。
展示会部門に配属され、早5年―。入社したきっかけや仕事への情熱を聞いた。

日本の魅力を世界に
発信したい

「MICE」という言葉を知ったのは、大学院のときですね。自分の指導教授がMICEの取り組みをリサーチしていて。大学院では、都市政策・街づくり・観光政策の研究をしていたのですが、MICEによる地域振興への貢献や海外の企業や人を誘致する、といったプラスのインパクトを学ぶことで、自分自身がMICEに携わりたいと思うようになりました。日本能率協会(JMA)については、学校の授業でFOODEXが取り上げられていて、その主催者であることをきっかけに知りました。

日本の魅力に気づいたのは、大学2年時のイギリスでの短期留学がターニングポイントだったように思います。イギリスには、元からとても憧れを持っていました。それに加えて、自分にとって、初の海外で。イギリスは憧れていた通り素晴らしい国で、滞在した1か月はあっという間でした。短期留学時に、イギリスの文化政策に触れ、国の政策として文化の普及やインバウンド対応に取り組んでいることに興味を持つようになりました。そこで社会学部専攻から、3年時編入で法学部に移り、イギリス政治のゼミで、イギリスと日本の比較研究をしました。そういった学びの中で得た日本の良さは、「伝統と最新のテクノロジーが共存しているところ」、「ホスピタリティー(精神)に溢れているところ」でした。実際に、トリップアドバイザーが世界の旅行者に対して行ったアンケート調査でも、日本は、人間性の良さ・親切さがずば抜けて高評価でした。それなのに、当時(2012年頃)、外国人観光客数は、イギリスが8位だったのに対し、日本は40位、都市別で見ると、ロンドンは1位で、東京はランク外でした。日本への関心の低さや、日本の良さが注目されていないことに悔しさを感じました。

そうして、日本の魅力を世界に発信したい、という思いを持ち、大学院に進みました。そこで、MICEと出会い、実際にMICE事業を行っている日本能率協会(JMA)を就職先として選択しました。

2人の違うタイプの上司に
支えられて、今の自分がある

日本能率協会は、社会人を対象とした研修事業と展示会事業、ISOの審査認証事業の3事業を展開しています。MICEをしたいという熱い思いで入職したおかげか、配属先は、展示会を担当している産業振興センターになりました。

入職初年度は、HCJという、サービス業界におけるホスピタリティとフードサービスをテーマにした展示会の担当になりました。(※HCJとは、ホテル・旅館・観光・各種施設の国際ホテル・レストラン・ショー(HOTERES JAPAN)、給食・中食・弁当のフード・ケータリングショー(CATEREX JAPAN)、厨房・フードサービスの厨房設備機器展(JAPAN FOOD SERVICE EQUIPMENT SHOW)の3展で構成されています。)まさに担当したい!と思っていた展示会なので、とても嬉しかったのですが、その反面、社会人1年目で上手くいかないこともありました。

HCJの企画担当として、ベビーやキッズ向け商品になったのですが、市場もあまり分からず、提案した営業先の反応もイマイチで、結局、出展は1社のみでした。出展者に対して申し訳なさを感じたのですが、当時の上司からは、「その1社を大切にしなさい。会期中のフォローもしっかりするように。」とアドバイスをもらいました。HCJには事前商談のシステムがあるのですが、その企業を推していたところ、とあるホテルとの商談をセッティングすることが出来ました。

当時の直属の上司は、一緒に同行することが多かったのですが、基本的な社会人マナーについて厳しく、しっかり叩き込まれたのも、とてもありがたかったです。注意されても、フォローを必ずしてくれたので、それを糧に頑張れました。

2年目からは、HOSPEX(ホスペックス)という、医療福祉分野の総合展示会の担当になりました。1年目の時には体験しなかった、企画委員会(展示会開催にあたり、外部の有識者の方々と一緒に展示会のコンセプト・今年の目玉を決める委員会組織を設けています)の準備や共催団体(学会)とのやり取りなど、業務の幅が広がり、外部の方との仕事も増えました。その時の上司は、任せて仕事をふってくれるタイプだったので、自分で考え、自由に仕事をさせてくれました

HOSPEXの企画では、医療では国や自治体との連携が不可欠だと考え、医工連携ゾーンを新設しました。営業をするにあたり、自分の出身が九州なのですが、生まれ故郷の市役所担当者とたまたま知り合いだったこともあり、当時の上司と一緒に九州縦断出張に繰り出しました。結果、福岡・宮崎から初出展いただき、それから継続的に出展するきっかけを作ることが出来ました。地元のために、という想いを少しでも形に出来たことは、自分にとって良い経験になりました。

また、HOSPEXは医療業界をターゲットとした展示会であるため、外部の方とのネットワークや自分自身の知識を広げるためにも、学会に出席したり、飲み会・懇親会に積極的に参加し、名前と顔を覚えてもらって、関係性を築いていくことを意識しました。

昨年半ばからは、7月に東京で開催するメンテナンス・レジリエンスTOKYO(猛暑対策展含む)というメンテナンス業界を対象にした展示会と、九州で“初”開催する猛暑対策展の担当になりました。
前年に東京で開催した猛暑対策展では、開催時に暑かったこともあり注目度が高く、メディアにも多数取り上げられ、来場者が増えました。それもあってか、前年出展者へのヒアリングからは、ニーズや商談に繋がったという声も多くあり、ブース数を増やすケースもありました。また、新規出展者も多く、今年も東京で開催された展示会は規模が倍増し、来場者も引き続き増加しました。初めは小さいゾーンでしたが、トレンドやニーズも高いので、どんどん規模を拡大していきたいと思っています。

九州での展示会は、JMAでは5年前から開催していたのですが、自分が担当するのは初めてでした。実際に携われることになり、MICEで地元に携わりたいとずっと思っていたので、とても嬉しかったです。

2人の違うタイプの上司に支えられて、今の自分がある

現状からもっと
成長するために!

早いもので、今年で6年目になりました。入職してからずっと展示会の担当をしていますが、企画委員・出展者といった社外の方とのコミュニケーションも多く、やりがいや達成感も得られる仕事です。ただ、正直、自分でもまだ出来ていないと思うこともあり、今後の課題だと感じています。今まで国内の展示会に携わっていましたが、これからは海外に関係あることを担当してみたいと、英会話・TOEICの勉強を再開しました。

そのかいあってか、今年の半ばからは、JMAが初めてタイで開催する展示会―「メンテナンス・レジリエンスASIA」の担当にもなりました。現地のパートナーとのやり取りや展示会準備等、日本と異なる面もあり、大変なことも多いですが、それと同時に面白さも感じています。

プライベートでは、展示会の会期に合わせてオフを上手く活用し、メリハリをつけています。スポーツ、特にサッカーは自分がプレーするのも、観るのも好きです。この春から、JMAグループ合同のサッカー部に入部し、他グループの方との交流もでき、仕事の連携にも繋がっています

プロサッカークラブ「アビスパ福岡」

また、地元福岡のプロサッカークラブ「アビスパ福岡」の関東後援会に所属しているので、近場のアウェーに試合観戦に行ったり、仲間と交流会などを企画したりもしています。

地元が大好きなので、3年くらい前から東京の福岡県人会に参加しています。そのつながりで、JMAのことを認知してもらったり、九州で開催した展示会で市長の祝辞メッセージをいただいたりといったこともありました。プライベートと仕事の境目がなくなって、プライベートの新たなつながりが、仕事に生かされる、ということもあるので、良い作用が生まれているなと実感しています。

これからも、人とのネットワークを大切にし、仕事を通して、地域振興・地元貢献をしたい、また、グローバルにも活動していきたいと思っています。

久壽米木 僚氏

※MICE:MICEとは、Meeting(会議・研修・セミナー), Incentive tour(報奨・招待旅行), Convention or Conference(大会・学会・国際会議), Exhibition(展示会)の頭文字をとった造語で、ビジネストラベルの一つの形態を意味する。

PROFILE

2014年日本能率協会に入職。産業振興センターにて、ホスピタリティ・フードサービスの展示会:HCJ、医療系展示会:HOSPEX、猛暑対策展といった様々な業界の展示会を担当。
現在は、福岡で開催の九州猛暑対策展など国内の展示会に加え、海外開催展示会である、メンテナンス&レジリエンスアジア@バンコクを担当し、タイの現地パートナーと協働しながら、企画・営業を行っている。

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